鳥取県庁県土整備部の仕事の魅力、やりがい、今抱えている課題とは?Part2

鳥取県庁県土整備部の仕事の魅力、やりがい、今抱えている課題とは?Part2

今までした仕事の中で大変だった仕事や、印象に残っているのはどういう仕事ですか?

津茂谷さん

私は、平成28年の鳥取県中部地震のときに、ちょうど中部で勤務しておりました。そのときは非常に大変でした。災害が起きた直後の現場は大忙しで、徹夜状態での作業が続いたので、言葉では言い尽くせないほどつらかったです。しかし、災害時だからこそ、行政としていかに頑張るかが腕の見せ所でしたので、非常に良い経験になりました。詳しく言うと、私が担当した現場は、工事を受け持つ業務ではなくて、メンテナンス、維持管理関係、災害関係の事務を担当して、情報総括的な立場でした。なので、問題がある場所がないかをまとめたりしたので、非常に印象深い仕事でした。

また、地震があった年が明けてから、大雪があったので、まさに鳥取県中部地震で災害対応をした経験が大雪の時に役に立ってよかったなと思いました。徹夜作業とかは肉体的にはつらかったですが、やりがいがあっていい思い出になりました。

藤井さん

僕は、失敗したこと、しんどかったこと、良かったことの3つ紹介します。

失敗したことは、30年前、最初の現場を任されたとき、小さいダムをつくる工事をしていました。1回目に業者さんと現場確認をしました。そして1ヶ月半ぐらいに2回目の現場に行くと、構造物が完成してしまったことです。本当は、品質確認や材料検証、施工確認などをしないといけなかったのですが、それらをせずに現場ができてしまったのです。もちろんその時は怒られました。そういう失敗があると、反省につながって、いろんなことを勉強できました。だからこそ、この仕事を続けられたのかなと思いますね。加えて、当然人間関係もできてきますし、いろいろ学べる場になったなと思います。

しんどかったことは、10年ほど前に鳥取県の大山で、一晩で1000ミリぐらい降るような豪雨災害があった時です。その年は災害が多く、時間外労働、残業時間が年間1,500時間を超えてしまっていました。そのときは死ななくてよかったなっていうくらいしんどかったですけど、何とかやり遂げることができました。

良かったことは、その次の年に、合意形成と言いますが、住民の方と一つの計画を作り込んで、計画の了解を得るということを1年かけてやったことです。一つの集落で関係者が1500、1600人ほどいらっしゃったのですが、いろんな集落に回って、計画の説明をして、それに対していろいろと意見をいただき、計画の修正を重ね、最終的にOKがでるまでに1年かかりました。土木行政の中で、机上の計画だけで、合意形成を図ることができました。1年間、汗をかかせてもらったことはいい経験になったなと思いました。

数々の現場に出ておられますが、しんどい現場、つらい現場を経験したときに辞めたいと思ったことはなかったのですか?

津茂谷さん

それはもう多々あります(笑)。そこでやめる人もいると思います。この業界に限らず、仕事を辞める行為自体は簡単です。でも辞めた後どうするかを考えたときに、結局踏みとどまります。やっぱり辞めるときは計画を持ってやめないけません。次にする仕事がないとやめられません。そうしないと失敗すると思います。仕事ですので、楽しいことばかりではないです。当然つらいことは多分多いと思います。つらいときはそれを我慢して、仕事の中でやりがいや喜びを見つけるとか、仕事以外の生活の中でリフレッシュすれば、仕事を続けていくことができると思います。

今、土木技術職が抱えているその問題や、これから考えていかなければならない課題は何ですか?

津茂谷さん

これは皆さんが学校の講義とかで結構聞いているかなと思います。日本全体の人口が減少している中で、我々土木技師は行政に限らず人手不足です。それが非常に重要な問題になっていますね。他には、今まで作ってきた施設の維持管理にかかる予算、金銭的な問題もあります。また、大きくなりますが異常気象や、それに伴う災害の対応です。人口減少に加え、予算も減ってしまいダブルパンチという感じになっていますね。

あと実際の現場は、同じ場所がなくフルオーダーメイドです。現場は工場生産と違って、非常に効率が良くないというので、最近はICTの導入を進めていますが、それに投資する費用、企画などが、動き始めたばかりでなかなか思うようにいっていないところが大きな課題です。この解決策に向けて、全国の皆さんが考えていますが、悩ましい問題です。

先ほど人手不足のことを言われていましたが、公務員の定員は、どんどん削減されているのですか?
それなのに仕事の量は変わらないとかはあるのですか?

津茂谷さん

全体的に言ったら、現状では職員数が急に増えたり減ったりすることはないですね。土木技師に関して言えば、災害も多いので、あまり減らすことができないかな?というところはありますね。なので、皆さんが就職するときに定員が大きく減るということは、あまりないと思います。

藤井さん

仕事の量が変わらなくて人が減ってきてしまったときは、どうすれば同じような能率になるのかを考えると、そこの解決策として生産性を上げることしかないと思います。それをどうすればいいかを考えることも、仕事をする上で重要です。

土木技術職に向いている人や県はどういう人を求めていますか?

津茂谷さん

まず、土木に限らず鳥取県が求めている人は、

地域の発展に貢献する職員公平公正に職務遂行する職員意欲を持って取り組む職員円滑なコミュニケーションで組織内外と連携を図る職員地域組織課題やその解決策について自ら進んで考え、行動する職員地域を支える人材として成長し続ける職員

です。

土木は、縁の下の力持ち的な業務かなと思っています。コツコツと業務を進めるのが好きな人は向いていると思います。土木は、いきなりものが「ボン」とできるわけではないです。前の人がやったことを自分たちが引き継いで、ちょっとずつちょっとずつ地道だけど確実に進めて、成長していくことが大事かなと思っています。

藤井さん

地域が好きな人は、地方公務員のどこのエリアであっても、この地域がいいなっていうふうに思えるところが大事だと思います。自分が生活する場所、地域のことがよくわかるということは、まさに自分が住んでいる生活圏を良くしようとすることにつながってきます。

Part.1へ戻る Part.3へ進む